凝血のセクソロジー

精液に血が混じる。いままで白かった(もしくは黄色がかった)精液が、急にピンク色に色づき始め、途端に辺り一面オトメチックな様相を呈するのである。無類の独楽者(オナニスト)ならば、誰しも一度ぐらいは経験する事件だろうが、しかし実際これをラブリーなどとは言ってられず、出てみると結構ビビる。僕は精液に血が混じった期間は過去に三度あるが、現に数年前に二回目の出血をした時は(陰茎に米粒大のシコリを併発したこともあって)、大学病院の泌尿器科で診察を受けた。いちおう前立腺癌の可能性もあるからと、肛門に指を突っ込まれ、前立腺を触診された経験がある。しかし前立腺に顕著な腫れはなく、オナニーでの出血は原因不明ながらよくある事と説明される(ちなみに陰茎のシコリも自然と小さくなる種のものであった)。
下腹部にシクシクとした違和感。ティッシュに射精したその精液を見ると、それは白かった。しかし僕には確実に予感があった。携帯を片手に僕は即座に浴室に向かった。トイレではなく、バスタブの中に放尿することを試みた。そして、そこに放出されたものは僕の予想をはるかに超えた三回目の出血。
出血がある際の射精直後の尿色は、だいたい黄色に赤が混じったオレンジ色である。しかしこのときの尿には黄色の要素がない。大量にして真っ赤である。そして尿道に何かが詰まっていて痛かった。その詰まっているものも僕には予めわかっていた。それは血の塊、いつものことである。正直に告白すれば、この血の塊が尿道を通って、外に放出されるときには何とも言えぬ気持ち良さをともなうのである。喉越しならぬ、尿道越しとでも言おうか、一種の尿道オナニーの快感に近い。余談であるが、僕の中学の同級生は、つまようじやボールペンの芯をよく尿道に入れて、快感と出血を享受していたが、尿道は気持ちがいいのだ。”血栓による尿道オナニー”は、僕の隠していた性癖の一つである。しかしこのときはそんな気持ちよさなど微塵もなかった。そう、血塊がデカすぎたのだ。ただ詰まって痛い。尿道がちぎれてしまいそうだ。それを我慢して、下腹部に力を入れ一気に出す。画像には三つしか写っていないが、実際には血塊は四つ出た。
その血塊の中で一番大きいものをアップで撮った。その大きさがわかるように自分の足の親指と比較してみた写真もあるにはある。その写真を参考にするとその血塊は、縦は最も長いところで約4センチ、幅は最も広いところで約2.2センチ、それは過剰に血を吸った巨大蛭のような、ぬらぬらと微妙な光彩を放っている、言うなれば我が子らであった。子供らを手に取り、親指と人差し指でつまむように弄ぶ。顔を近づける、匂いはいい感じの鉄のニオイで、感触はグミのようで非常に弾力があった。シャワーで流したが、しばらくしてバスタブの水かさが増していることに気づく。子供たちが排水口の網目でもがいている。それはバスタブの栓として機能するほどであったのだ。間引きのアナトミー、仕方なしに僕は我が子たちを手で拾い上げ、ティッシュに包んでトイレに流した。それらの一つにはハート型をしていて可愛らしいものもいたが、しかしサトゥルヌスのように、我が子を喰らうという考えには思い至らなかった。愛していなかったわけじゃないけれど。さようなら。

画像はそれぞれ別の日に撮った血尿血塊。毎日貧血になるんじゃないかと心配になるぐらい血と痛い塊が出ていたのだ。血尿血塊がオチンの先っぽから発射される瞬間をとらえた動画まで撮ったが(貴重な映像だと思う)、もろ裏ビデオなのでもちろんここには載せられない自主規制。指の上に乗せたハート型血塊写真もあったはずなのだが、どこかに紛れた。