疫病流行記

migime2009-02-03


デビュー作の『スケバンマフィア 肉刑<リンチ>』でも度肝を抜かれたが、カメラアングルや動き、構図に対するこだわりはいちいち偏執的で、本作はデビュー作以上の傑作かも知れず、なにより画面に横溢するヒリヒリとした暴力感覚が肌で感じられ、初期の池田敏春はとんでもないかも知れない。泉じゅんは泉じゅんで、デビュー作『感じるんです』でも見せた舞踏オナニー、本作はそれ以上の凄味迫力。こたつの足を使ったオナニーはもはや伝説か。さらにオナニーで言えば、伊藤京子のそれもまた凄く、コンドームに生タマゴを入れ、それをあそこにねじ込む、そして鉛筆を三本手に取り、それをさらに奥へと突っ込む。膣内で破裂する生タマゴ、流れ出る黄身と白身卵子とザーメンが混じり合ったとでも言いたいのか。女陰にタマゴを入れるといえば、すぐさま想起されるのが仏蘭西で制作された大島渚愛のコリーダ』のワンシーン、そして映画ではないがやっぱり仏蘭西の作家ロード・オーシュ『眼球譚』にも同様のエピソードが。仏蘭西語で「玉子」と「目玉」はほぼ同音だそうだが、すると伊藤京子が女陰に入れたものはすぐさま目玉にも変換する。鉛筆でしこたま突かれ膣口からドロリと流れ出たタマゴの白身は、いったい誰の硝子体液なのか。
丸尾末広『笑う吸血鬼』1998での外男のオナニーシーン、その最中、外男の妄想は存在感ある女を目の前に現出させる。本作でもこれと同じようなシーンがあり、泉じゅんのビニ本「赤い淫画」をおかずにする阿部雅彦、その妄想的オナニーの集中の果て、ビニ本から飛び出して来たかのように目の前に現れる泉じゅん。余談だが『笑う吸血鬼』の外男オナニシーンでのちぎれた指、早見純のパロディでないかと密かに思っているが定かではない。
寺山修司×丸尾末広の新作画「疫病流行記」が池の下にアップされたので忘れずチラシを取りに行くこと。極私的備忘録まで。『天使のはらわた 赤い淫画』についての戯れ言は丸尾末広研究に関する枕のようでいて枕ではない、ただの空白の穴埋め。