一角座大和屋竺特集記念拾物画像

migime2007-07-19

「映画をめぐる怠惰な日常」さんを拝読していたら、そこに『愛欲の罠』のポスターを買ったとあってちょっと羨ましかった。別に便乗日記を書こうというのではなく、元々やろうと思っていたのだが(言えば言うほど言い訳がましい、のでもうやめる)、今夏は一角座がひどく目出度いので、今日は以前にヤフオクで拾っておいた大和屋竺関係画像(HD壊れた際、一緒にブッ飛んだかと思ったけどセーフだった)を、記念に(自らの保存も兼ねて)貼り付けようと思います(ああ、括弧が多くて読みづらい!)。
お断りしておくが、今から貼る画像は全てヤフオクで拾ったもので、僕のコレクションではない。なので、これらを落札した方からもしかしたらクレームが来るかも知れない(いや誰もこんなとこ見ないので来ないか)。そりゃ高い金払って買った物なのだから気持ちはわかるけど。したら消すさ。が、個人的には情報というものは皆で共有した方がいいと思っているので、まあブツはあなたの手元にしっかりある、ここにあるのはただの写真にすぎない、触ることも、頬摺りすることも、匂いを嗅ぐこともできない。それでわかってくれないだろうか。

一枚目は今夏に一角座で掛かったところの大和屋竺監督の『愛欲の罠』だが、詳しい値段は覚えていないが万に近い額(!)で取引されていたような曖昧な記憶が…。自分も安かったら買おうと思っていたのだけど、モチのロンで早々に脱落しました。それはともかくとして、『愛欲の罠』はロマポスターにはちょっと珍しいように思われる黒を基調とした(中川梨絵絵沢萠子も控え目)なシブいデザイン。特にいいのは梨絵様の乳首がしっかり写ってること。ロマポスも再版になるといままで出ていた乳首部分を不自然に修正するので(女優の顔写真を貼って隠すとか)、あれはハッキリ言って興醒めなんですよね(その類の本に修正版が掲載されてるとげんなりする。初版を探してそれを載せるべき)。僕が知る限り、例えば1983年までのロマポスは乳首がポロンポロン出ているわけだが、1984年になると『日傘の女』や『美加マドカ 指を濡らす女』などのポロポスもあるにはあるが、だんだんと最初から下着や手や物で乳首を隠したデザインに移行していく印象が強い。そして1985年から終焉の1988年まで、ついに”完全”にポロポスは消えることになるのであるが、この当時、青少年への配慮云々的なお上からのお達しでもあったのだろうか?にしても、ポロポスの転換期である1985年は、にっかつが過激さを売りにすることになるキネコ方式の通称”ロマンX”が始まった年で、ポスターはソフトに、内容はハードに、となるこのギャップが興味深い。まあとにかくロマポスは乳首が出る出ないで雲泥の差なのですね、価値が。8/4から一角座の物販で『愛欲の罠』ポスの再版(モチ乳首有)とか売り出さないでしょうか、出しませんか、ああそうですか。

二枚目は『荒野のダッチワイフ』、例えばアップリンクの解説など見ると、「公開時タイトル『恐怖人形』」*1とあるのだけど、このポスターでは『荒野のダッチワイフ』となっていますね。何年ぐらいのものなんでしょうねぇ。にしても、このポスターのユニークなところは「ダッチワイフの町に挑戦する殺しやショウの巻き起こす強烈なエロチシズムとアクションの異色作」と煽ってるにもかかわらず、そのショウこと港雄一がそのポスターの中にいないこと(厳密には左上の拳銃はショウが使うものなので、その人差し指だけ出演)。映画の内容を何か暗示する意図でもあったんでしょうか。

ちなみに三枚目の画像はヤフオクに出品されたベータビデオだが、となると僕の知る限り、『荒野のダッチワイフ』は上のベータ、ハミングバード版、東宝版、アップリンク版と4種のパッケージがあるのだけど、そのどれもが港雄一を使ったものだった。『日本映画ポスター集 続・成人映画篇』に載っているもう一種の『荒野のダッチワイフ』ポス(今日の1枚の画像がそう。携帯カメラ200万画素で撮ってるのでよくわからないだろうけど)だって、中央にでかく配置されてるわけではないが、港雄一はちゃんとその姿を見せている。まあ他に『荒野のダッチワイフ』ポスが何種類あるかは知らないけれど、少なくとも主人公の姿がないという意味でこのポスは異形。にしても、ショウの宿敵山本昌平はわかるけど、アロハに腹巻き(さらし?)のチンピラ野上正義がこんなに(ポスター上で)扱いがデカいのは解せないなぁ(笑)。まあ野上正義といえばピンク界の大スターなので、ポスに出す出さないで客入りに影響するということでもあるのかしら。確かに野上正義はひどくいいし、個人的にも好きなんですが。

何故だか急に画像(あと三枚。おまけみたいなものだけど)がアップできなくなったので、たぶん日が悪いのでしょう。続きの画像はまた日が良いときにでも。

*1:しかし実際、『恐怖人形』のタイトルでどの程度の規模で公開されたのだという疑問。いちおう時事通信社『映画年鑑 1969』(昭和44.1.1発行)の作品記録(昭和42年7月1週から43年6月4週までに公開された長編映画を会社順、封切順に記載してある)をあたってみたところ、そこに「恐怖人形」の文字はなく、『荒野のダッチワイフ』とあった(余談だが、出演者が”港昌平”と書かれていて唖然とする)。ついでに『映画年鑑 1970』の作品記録も見たところ、「毛の生えた拳銃」とはなく、こっちの方はしっかり『犯す!』と。大和屋竺の著書『悪魔に委ねよ』には、なるほど「恐怖人形」の記述はなし。『毛の生えた拳銃』に関しては、ちゃんと”『犯す!』のタイトルで公開され、大和屋が各地を挨拶まわりした(九州には鈴木清順も同行)”と書いてあるのに。謎だ。