ビデオで観られる60〜70年代のピンク映画

知人のTさんが所有していたハミングバードビデオのカタログチラシを見て、これは資料的価値が高いぞと思い、それに触発されて、というか、ようは人のふんどしで相撲を取るぜ、という話なのだが、いまのところ確認できているハミングバードビデオを試みに列記していこうと思う。


Tさんのチラシを引用させてもらうと、そこには「異端の映像PART2」とあり、12本の商品が載っている。列記すると、


01.少女情婦/1980・国映・高橋伴明
02.裏切りの季節/1966・若松プロ大和屋竺
03.青い暴行/1967・新藤孝衛
04.欲情看護婦/1981・新東宝・小水一男
05.女学生ゲリラ/1969・若松プロ足立正生
06.少女地獄責め/1971・国映・向井寛
07.真昼の切り裂き魔1984・国映・滝田洋二郎
08.裸虫/1964・国映・今野勉
09.赤い門/1974・国映・稲尾実
10.性家族/1971・国映・若松孝二
11.モダン夫婦生活読本(ニュージャック&ベティ)/1969・若松プロ沖島勲
12.色欲の罠/1973・国映シネマ・中村幻児


とある。
「PART2」ということは当然「PART1」があるわけで、ごく単純に考えて、それも12本のラインナップではないかと予想。
確認ができている上記以外のタイトルを列記すると、


13.荒野のダッチワイフ/1967・大和屋プロ・大和屋竺
14.情事の履歴書/1965・若松プロ若松孝二
15.新情事の履歴書/1967・青年群像・山下治
16.明日なき暴行/1970・国映・渡辺護
17.十五代の売春婦/1971・国映・足立正生
18.淫紋/1967・日本芸術協会・向井寛
19.ブルーフィルムの女/1969・朝倉プロ・向井寛
20.肉布団/1971・国映・向井寛
21.歪んだ関係/1965・国映・若松孝二


で、まあ元より「PART1」は9本なのかも知れないが(キリがいい)、でもあと3本ある可能性も否めないので、なので情報求む。知ってる人は書き込みお願いします。
ちなみに、ハミングバードビデオの品揃え日本一は高円寺にあるオービスに間違いないだろうが、確か<01>と<21>以外はここでレンタルしたと記憶する。また<21>に関しては、国立のビデオマーケットに在庫している。まあ処分されずに今もあるかは未確認だけれど、いちおう老婆心ながら。



他、ハミングバード以外で最も気になるのが、現代映像企画社の「ピンク映画名作シリーズ」。確認できているものは、


01.情事の履歴書/1965・若松プロ若松孝二
02.堕胎/1966・若松プロ足立正生
03.濡れ牡丹・五悪人暴行編/1970・朝倉プロ・梅沢薫


の3本だけで、これ以外のタイトルもあると思われるが、杳としてその全貌は掴めず。こちらも情報求む。



となると、東宝ビデオの若松孝二傑作シリーズ」も気になるではないか。確認できているものは、


01.狂走情死考/1969・若松プロ若松孝二
02.犯された白衣/1967・同上
03.処女ゲバゲバ/1969・同上
04.秘花/1971・同上
05.新日本暴行暗黒史・復讐鬼/1969・同上


の5本。今年ヴェーラで掛かったが『秘花』なんちゅーレアタイトルが入ってるぐらいだもの、こちらももう少しタイトルありそう。情報求む。



Tさんのチラシによると、大陸書房「成人映画傑作全集」のラインナップも凄いですねぇ。


01.胎児が密猟する時/1966・若松プロ若松孝二
02.痴漢365/1972・東京興映・山本晋也
03.日本暴行暗黒史・異常者の血/1967・若松プロ若松孝二
04.少女縄化粧/1979・新東宝興業・渡辺護
05.痴漢地下鉄/1975・新東宝山本晋也
06.蕾を殺る/1977・新東宝高橋伴明
07.濡れた唇・しなやかに熱く/1980・幻児プロ・中村幻児
08.新宿マッド/1970・若松プロ若松孝二
09.女湯・女湯・女湯山本晋也
10.おんな地獄唄/1970・わたなべぷろ・渡辺護
11.痴漢電車/1975・新東宝山本晋也


前述のオービスには<01><03><07><08><10>あたりはあると記憶。



他にも、ダゲレオ出版のピンクパケの若松シリーズとか、紀伊国屋書店の若松DVD-BOXとか、アップリンク渡辺護DVD-BOXとか、60〜70年代のピンク映画でも観ようと思えば結構観られるものなんですね。と言っても、全体の量から見ればほんのわずかですけれども。


同じく成人映画ならば、70年代は日活ロマンポルノがあり、ジェネオンの「日活ロマンシリーズ」が発売される前まではロマポのレアタイトルを独占していた、大陸書房「にっかつロマンコレクション」リストなども作成しようかという気になるが、数が多いのでそれはまた気が向いたときにでもまとめて。まだまだこのシリーズでしかソフト化されてないタイトルもありますし、レンタルビデオ屋でもそれほど揃ってるお店はないので。


いや、それよりももっと難解なのはおそらく、(まあここからは80年代に入ってしまいますが)にっかつビデオフイルムズの「ロマン・ベストシリーズ!」で、例えば、吉田さより(風祭ゆき)主演の『フライトSEX 夜に燃え・夜に濡れ!』(監督:久我剛)なんてタイトルもあるんですが、すべて30分のビデオなので、短縮版と言えば聞こえはいいが、ただ単に半分以上カットされてるだけなので、どうにもこうにも腹立たしいシリーズなのです。でも確かに魅力的なところもあって、まあそれについてはまた後日触れることにして。


あと、にっかつビデオの「生撮りシリーズ」とかもよくわからない。新宿ツタヤに朝吹ケイトの『覗き部屋の女 PART2』(監督:藤浦敦)が一本だけありますが、それ以外のものを見たことがない。朝吹ケイトといえば、熟女時代のエロビデオ(裏)があったりするんですが、これは正直萎えます(画像キャプって載せようかと思いましたが、かなりキツイので自粛)。まあどーでもいいんですけどね。


現映社のロマポ女優を起用してるアダルトビデオも、『浅見美那のひ・め・ご・と』 『おんな井上麻衣2 悪魔のように』 『麻生かおり 被虐の花』は観ましたが、きっとまだまだあるんでしょうねぇ。


いや、待て、すっかり忘れていたが、独立プロ系ピンクやロマポはまだビデオ化されるぐらいだからいいんだ、それよりも問題なのは東映ニューポルノ」で、ビデオ化どころか、リストからさえ落ちてる謎の映画多数。荒井美三雄、本田達男、依田智臣、高桑信、深尾道典(の『好色源平絵巻』はヴェーラで観たけど)etc、以前より、”ヴェーラで東映ニューポルノ特集やれ!やれ!”と呪詛し続けていますが、くそー、せめて『マル秘女子短大生 集団妊娠』(監督:依田智臣)みたいにビデオ化ぐらいしてくれや、東映さん!



◎『浅見美那のひ・め・ご・と』
現映社という会社が製造販売元のアダルトビデオで、AV女優は日活ロマンポルノで主演もはる浅見美那。僕はいっつも浅見の悪口ばかり言ってますけど、それでもこうして観てしまう悲しい性、でも別にないのだけど、監督は矢野広成、脚本は白石宏一、製作年度は不明。
いちおうアリスを意識しているのか、森でレイプされそうになった浅見を東久雄が助けます。そして、そのまま二人は東の部屋へ、東は奥さんも子供もいるおじさんですが、これはAVなんですからお約束です、はいエス・イー・エックス!、事後お風呂場で浅見に体洗われながら(終)。
東の部屋へ行く階段を昇っていくところから、浅見が部屋を物色して、アコーディオンいじったり、アリスを朗読したり、東はスイカを切ったり、質疑応答あり、セクスシーン終盤までぶっ続けの長回しでその時間18分弱、三十分ほどのビデオなのでほぼ三分の二がワンカット、窓はガラスが多くて、陽射しが入ってくる明るい部屋なんで微妙に解放感とかあるんですけど、この延々と続く性交シーンを密閉された空間でやられたらもう少しエロチックだったんじゃないかと思うけど、でもこれはヌキ用のAVなのでちゃんとおっぱいがクリアに見えることが大事なのでしょう。
ぼそぼそ言ってるのでよく聞こえなかったけど、東に”いくつ”と聞かれて、浅見が”15才”と答えるところがあって、”え?浅見そんな少女の設定?!おまえには無理ありすぎんだろ!”と思ったんですが、もしかしたら初体験の年齢を聞いたのかも知れない。


◎『おんな井上麻衣2 悪魔のように』
現映社のAV、主演はロマポ女優の井上麻衣、監督は高橋芳朗、脚本白石宏一、1983年製作で、同年には『おんな井上麻衣 天使のように』というのもある模様。
高橋芳朗といえば、ここのデータベース(http://www.jmdb.ne.jp/person/p0112700.htm)を見てもわかるとおり、日活ロマポによく関わり、きれいに「助監督」の文字が並んでいる。1973年、日活は契約助監督の社員化を推し進めたが、高橋芳朗は日活の社員にはならず、フリーの職業的助監督であることを選んだ一人だから、その文字が並ぶのは当然だが、AVの監督とかしてたんですね。
自分の勤めるラジオ番組では、若い女の子に嫉妬するのは流行らないぞと言いつつも、自分の男(中丸新将)の浮気相手は許せない、その女を自分の部屋へと誘い込み、カミソリで脅しながらオナニーなどを強要、しかしいつの間にか二人は絡みだし、結局立場逆転、井上は女に責められて(終)。
中丸がぼそぼそ女優の耳元で演技指導してるのが微妙に聞こえてきて笑える。ぼそぼそ→それに応じて女優不自然に動く、みたいな。


◎『麻生かおり 被虐の花』
現映社、主演はロマポ女優の麻生かおり、監督・脚本は前年小津パロのピンク撮ってる周防正行、制作年度は1985年。
雨がそぼ降る街角に酔っぱらって座っている麻生かおり、そこへ通りかかったこれまた酔っぱらいの稲葉年次が麻生の傘を蹴飛ばす、ここで二人は会話を交わし、抱き合い、ホテルへ。ここで麻生は狂ったように男と交わる、男が果てても、まだやりたがる、男の全てを吸い尽くす、身悶えするほどの快楽を求めて、そんな官能にまみれた一夜を過ごした二人だが、後日また街で再会したときは二人は無言のまますれ違う(終)。
麻生の赤いパンツ、赤いストッキング、赤い口紅、赤い部屋、突如画面上より流れてくる赤いしたたり。男の真っ白なブリーフの上からペニスを唇で愛撫、男のブリーフは赤く染まる。寝ている男を襲い精を奪う夢魔スクブスを思い描けば、これを吸血鬼映画(AV)の一編として了解するのは容易い。